有田隆也

生命のどの階層レベルにおいても、協調関係とみなせるようなユニット間の多様な相互作用が、そのユニットを含む一段上のレベルのユニットを構成している。しかし、その協調関係は安定したものではなく、たえず内部に崩壊の危機をはらむものであり、実際、時間がたてば必ず崩壊する。そのように、どのレベルにおいても全ユニットが崩壊に向かう中で、ユニット間の自発的な流動性によって、ユニット間のばらつき(多様性)が保たれ、ユニットを含む上のレベルのユニットは協調的に機能を発揮して存続しうる。しかし、このレベルにおいても同様に、時間の経過に伴って確実に崩壊に向かうが、その中で構造を再構築し続けることによって多様性が保たれ、緊張感に満ちた協調的な関係は持続するのである。(p.107-108)

『心はプログラムできるか』

太字引用者