2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

小林秀雄

マラルメはランボオを語り、ランボオが詩にもヨオロッパにも別れを告げるところに来て、こんな事を言う。「ここに不思議な時期が来る。尤も、次の事を認めるなら、何も不思議ではないのだが。自分の方が間違っていたか、それとも夢の方に誤りがあったか、い…

一ノ瀬俊也

米軍広報誌Intelligence Bulletinの描いた日本兵たちの多くは「ファナティック」な「超人」などではなく、アメリカ文化が好きで、中には怠け者もいて、宣伝の工夫次第では投降させることもきできるごく平凡な人々である。上下一緒に酒を飲み、行き詰まると全…

玄侑宗久

「事を知り、世を知れれば、願はず、わしらず、ただしづかなるを望みとし、憂へなきを楽しみとす」こんな世の中では何も願わない、何かを求めて走りまわることもしない、ただ静かで、憂いのない生活がいいのだと、しみじみとした口調で宣言するのです。これ…

スラヴォイ・ジジェク

精神分析のもう一つの教訓は、好奇心が人間に先天的で生来のものである(私たちそれぞれの内奥には、知る〔という〕欲動Wissenstriebが存在す る)という理解とは反対に、「私はそれについて知ることを欲しない」が人間存在の自然生的な姿勢だ、という教訓で…

中島義道

AとBという選択肢を前にして私がAを自由に選択したという記号化は、けっしてその時の自由な行為の再現を意味するものではない。それは、むしろAを選択したことに関して私に責任が課されるということからさかのぼって意味づけられることなのだ。 『時間論』 …

伊藤計劃

システムがそれなりに成熟していれば、意識的な決断は必要ない。これだけ相互扶助のシステムがあって、これだけ生活を指示してくれるソフトウェアがあって、いろいろなものを外注しているわたしたちに、どんな意志が必要だっていうの。問題はむしろ、意志を…

伊藤計劃

自由とは、選ぶことができるということだ。できることの可能性を捨てて、それを「わたし」の名のもとに選択するということだ。 『虐殺器官』