2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

中村圭志

世俗的現代人は「宇宙の最高原理」も「神」も問いません。もっとも、何か絶対的なものをまるっきり信じていないわけではない。現代人のあいだには、宇宙の本質に関するある種の思考パターンがあります。宇宙とは進化と淘汰を原理とするものだ――私たちはなん…

岡ノ谷一夫

情動から歌が生まれ、そこから言語が生まれると、世界は言語によって切り分けられるようになります。言語を生み出した情動それ自体も、言語によって切り分けられ、より複雑な感情が生まれてきます。こうして人間のコミュニケーションは、言語と、感情の2つ…

本居宣長

詮ずるところ学問は、ただ年月長く倦ずおこたらずして、はげみつとむるぞ肝要にて、学びやうは、いかやうにてもよかるべく、さのみかゝはるまじきこと也。いかほど学びかたよくても、怠りてつとめざれば、功はなし。又人々の才と不才とによりて、其功いたく…

永井均

「それはよくわかるけど、さっきの欲望と意志の葛藤の話は結局どうなったんだっけ?」「だから、欲望を肉体的で感性的な低次元のもの、意志を精神的で理性的で次元の高いものって考えるのをやめちゃえば、そんな対立なんてないのさ。禁煙してる人の例で言え…

中村元・田辺祥二

人生はすべて楽しいと信じている人にとっては、仏教は無縁であります。しかし、どんな人間でも、苦から無縁であることはできません。というのは苦とは、もともと「思い通りにならないこと」を意味しているからです。人生はすべて思い通りになることはありま…

戸田山和久

この世で行為する現実のエージェントが望むに値する自由は、決定論と矛盾しない。自由なエージェントとは、まず第一に、理由によって行為する。つまり自分にとって良きものを求め避けるべきものを避けるという目的をもって行為する。そして第二に、行為に先…

永井均

「(…)ぼくらはね、ふだん自由って感じを持つことはほとんどないんだ。むしろ逆に、ときどき自由でないって感じの方を持つんだよ。それはね、何かしようと思っても、羽交い絞めにされてたり体が麻痺してたりして、どうしても動けないとか、そういうときに自…

中山元

ニーチェの真理の理論は、真理の概念におけるこの欺瞞性を暴く。系譜学は、真理を絶対的なものとして考えるのではなく、さまざまな力の競合と対立関係の中で成立する〈暴力の帰結〉と考える。ニーチェは真理とは、階級対立の結末であり、人間が他の人間を支…

小坂井敏晶

自由とは何か。それは因果律に縛られない状態ではない。自分の望む通りに行動できるという感覚であり、強制力を感じない状況のことだ。強制されていると主観的に感じるか否かが、自由と不自由を分ける基準をなす。他の要因によって行為が決定されるかどうか…

森三樹三郎

(…)万物がそれぞれに存在の根拠をもち、他者の介入を許さないこと、これが自然ということである。この意味での自然は、そのまま自由といいかえてもよい。自由とは、それ自身の内にある根拠にもとづくことであり、他者の介入を許さないことである。 『「無…

下條信輔

「自由な意志」の印象がもっとも妨げられるのは、行動が意識され、その原因が外の世界に、誰にも観察できるかたちで見つかったとき(…) 裏を返せば、「自由な行為」は、もっとも意識にのぼりにくいときに実現します。没頭し、われを忘れているときに。 『意…

石川幹人

意識の役割は、意識が誕生した時点からすでに、「現状の改善」に重きがおかれていた可能性が大です。なぜなら、現状でうまくいっているのならば、下等生物のように意識をもたず、つねに無意識下で行動していたのでもよいことになるからです。私たち人間が意…

池谷裕二

(…)意識を一種の「警告システム」であると考える学者がいます。想定外の事件が生じたときに、意識が生まれ、私たちに知らせるという考え方です。 意識が“意外性”の反映だとしたら、面白い側面が見えてきます。意識が表われたとき、脳は周囲の状況を解釈し…

ヤスパース

(…)世界史の枢軸は紀元前800年から200年の間に発生した精神的過程のうちに存するように思われます。私たちとともに今日に至るまで生きているところの人間が現れたのであります。私たちはこの時代を簡単に《枢軸時代》(Achsenzeit)と呼ぶことができるでし…

片山杜秀

ファシズムは権力者から実権を奪ってゆきがちな近代社会の複雑化と専門化を逆手に取る。ファシストは複雑化と専門化に反対しない。それどころかわざと過度に推進する。役人や学者やその道のプロがこんがらがって自分の立ち位置さえ分からなくなるまで。そう…

ランボー

また見附かった、何が、永遠が、海と溶け合う太陽が。独り居の夜も燃える日も心に掛けぬお前の祈念を、永遠の俺の心よ、かたく守れ。人間共の同意から月並みな世の楽しみからお前は、そんなら手を切って、飛んで行くんだ……。――もとより希望があるものか立ち…

トマ・ピケティ

これらの新しい歴史の情報源からどんな結論を得られるだろうか?まず第一は、富と所得の不均衡についてのどんな経済的決定論にも警戒しておくべきだというものだ。富の分配の歴史は常に非常に政治的なものであって、純粋に経済的なメカニズムだけに還元する…

山極寿一

人間の社会性を支えている根源的な特徴とは、育児の共同、食の公開と共食、インセストの禁止、対面コミュニケーション、第三者の仲裁、言語を用いた会話、音楽を通した感情の共有、などである。霊長類から受け継ぎ、それを独自の形に発展させたこれらの能力…

中村元・田辺祥二

この世の実相は、生滅の世界なのであるから「有」とも「無」ともいえないというのです。それでは何なのか、とすぐいいたくなるでしょう。ブッダは、それは縁起の世界だというのです。無数の原因と条件によって生滅をくり返している世界なのだから、これは有…

ゴータマ・シッダールタ

カッチャーヤナよ、この世間の人々は多くは二つの立場に依拠している。それは、すなわち有と無とである。もしも人が正しい智慧をもって世間(世の人々)のあらわれ出ることを如実に観じるならば、世間において無はありえない。また正しい智慧をもって世間の…

戸田山和久

まず、人生総体の究極目的を求めてしまうのは、われわれが獲得した目的手段推論のための能力のある種の暴走だということだ。目的手段推論は、すぐには満たすことのできない目的を表象し、その目的を実現するための手段を探索する推論のことだった。つまり、…

戸田山和久

最初、この世には生きものはいなかった。そのときは、この世で起こることを理解するには物理的スタンスで十分だ。ところが、化学反応のスープの中から、生きものと呼べるような独特のシステムが生じてくる。そうなると、たとえば機能とか目的の原型のような…

戸部良一 他

組織が継続的に環境に適応していくためには、組織は主体的にその戦略・組織を環境の変化に適合するように変化させなければならない。このようなことができる、つまり主体的に進化する能力のある組織が自己革新組織である。 適応力のある組織は、環境を利用し…

僧璨

至道無難(しいどうぶなん)、唯だ揀択(けんじゃく)を嫌う、但だ憎愛莫ければ、洞然(とうねん)として明白(めいはく)なり。毫釐(ごうり)も差有れば、天地懸(はるか)に隔たる。現前を得んと欲せば、順逆を存すること莫かれ。 最高の真理に至るのは難し…