ランボー

また見附かった、
何が、永遠が、
海と溶け合う太陽が。


独り居の夜も
燃える日も
心に掛けぬお前の祈念を、
永遠の俺の心よ、かたく守れ。


人間共の同意から
月並みな世の楽しみから
お前は、そんなら手を切って、
飛んで行くんだ……。


――もとより希望があるものか
立ち直る筋もあるものか、
学問しても忍耐しても、
いずれ苦痛は必定だ。


明日という日があるものか、
深紅の燠の繻子の肌、
それ、そのあなたの灼熱が、
人の務めというものだ。


また見附かった、
――何が、――永遠が、
海と溶け合う太陽が。

 「錯乱Ⅱ」/『地獄の季節』(小林秀雄訳)

太字=原文傍点