僧璨

至道無難(しいどうぶなん)、唯だ揀択(けんじゃく)を嫌う、但だ憎愛莫ければ、洞然(とうねん)として明白(めいはく)なり。毫釐(ごうり)も差有れば、天地懸(はるか)に隔たる。現前を得んと欲せば、順逆を存すること莫かれ。

最高の真理に至るのは難しいことではない。ただ取捨、憎愛の念を起こして、選り好みをするのを嫌うだけである。ただ憎むとか愛するとかがなければ、それはこの上なく明白になる。しかし、そこに少しでも差誤が有れば、天と地のように遠く隔たってしまう。我々に本来具わっている佛心が日常の行動に現れるためには、憎愛の心を離れなければならない。

『信心銘』

 

参照:http://www.sets.ne.jp/~zenhomepage/sinjinmei.htm