偽りのプロパガンダなどがもたらす社会的影響は、政治キャンペーンや商業広告における個人の記憶に有害な影響を及ぼしたり、目撃者の証言を変化させて裁判の妨げになったりするおそれがある。しかし一方で、記憶の同調は、適応的役割を果たす可能性も考えられる。社会的学習は、個人的学習よりも効率的で正確であることが多いためだ。このような理由から、人間は、本来の個人的意見と食い違っているときでさえ、集団の判断を信頼する傾向をもっているのかもしれない。

 個人の記憶は無意識のうちに書き換えられていく、「社会への同調」で生まれる「ニセの記憶」