ダニエル・カーネマン

私たちにはパターンを探そうとする傾向があり、世界には一貫性があると信じている。そこでは、規則性(…)は偶然に起きるものではなく、機械的な因果律か、でなければ誰かの意志によって起きるものだと考える。ランダムなプロセスから規則性が生まれるとはゆめ考えないし、規則性を司るルールらしきものを感じとると、すぐさま「もしかすると本当はランダムかもしれない」という考えを捨ててしまう。
しかし実際にはランダムなプロセスから、大方の人が絶対にランダムではないと感じるような順序がたくさん生まれている。規則性を見つけることが、進化の過程で有利だったことは容易に想像がつく。私たちは環境変化の徴候に自動的に目を光らせる習性が身についており、規則性探しは警戒行動の一部として祖先から受け継いでいる。(p205)

私たちは、人生で遭遇する大半のことはランダムであるという事実を、どうしても認めたくないのである。(p208)

 『ファスト&スロー(上) 』(村井章子訳/ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

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