ニーチェ

人間が存在するかぎり、家畜の群れとしての人間も存在した(氏族の連合として、共同体として、部族として、民族として、国家として、教会としてだ)。命令する者は少数だったが、これに服従するのはつねに多数だった。――だから人間のうちでこれまでもっとも長い期間にわたって、もっともよく採用され、育てられてきた方法は、服従だったのであり、次のように想定することができるだろう。すなわち現在では平均するとすべての人間が、ある種の形式的な良心のようなものとして、「汝は無条件に、あることをなさねばならない」という命令、短く表現すると「汝なすべし」という[定言]命令にしたがいたいという欲求を、生まれながらにもっていると考えられるのである。

『善悪の彼岸』(p.230-231)

太字=原文傍点

 

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