山本常朝

人間一生誠にわずかの事なり。好いた事をして暮すべきなり。夢の間の世の中に好かぬことばかりして苦を見て暮すは愚かなことなり。この事は悪しく聞いては害になること故、若き衆など之は語らぬ奥の手なり。我は寝ることが好きなり。いよいよ禁足して寝て暮すべきと思うなり。

『葉隠』