竹内整一

日本語では、「おのずから」と「みずから」とは、ともに「自(か)ら」です。そこには、「みずから」為したことと、「おのずから」成ったこととが別事ではないという理解がはたらいています。われわれはしばしば、「今度結婚することになりました」とか「就職することになりました」という言い方をしますが、そうした表現には、いかに当人「みずから」の意志や努力で決断・実行したことであっても、それはある「おのずから」のはたらきでそう“成ったのだ”と受けとめるような受けとめ方があることを示しています。

 『日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか』

 

関連:http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2015/05/24/054856
http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2015/03/13/222646