ウルリッヒ・ベック

労働に参加するには教育を受けることが必要であり、労働への参加も教育への参加も、社会移動と、容易に社会移動ができる態勢を前提条件にしている。これらの条件はすべて、人が進んで自分自身を一個人として組み立てていくことを、つまり、個人として計画し、理解し、構想し、行為する――あるいは失敗した場合には、みずからが招いた帰結に耐える――こと以外何も求めない、そうした必要条件である。
ここにもまた同じ構図を見出すことができる。意思決定ではあるが、おそらく意思決定不可能な意思決定、つまり、決して自由な意思決定ではなく、ジレンマを引き起こすモデルのもとで、他の人によって強制され、自分自身を無理やり奪い取られた意思決定である、という構図である。

 『再帰的近代化―近現代における政治、伝統、美的原理』

参照:http://blog.goo.ne.jp/vergebung/e/f86916bcc0681c665dcab31ec2f9d8d7