丸山真男

むしろより厄介なのは、これまで挙げた政治の例が示しているように「『する』こと」の価値に基づく不断の検証がもっとも必要なところでは、それが著しく欠けているのに、他方さほど切実な必要のない面、あるいは世界的に「する」価値のとめどない侵入が反省されようとしているような部面では、かえって効用と能率原理がおどろくべき速度と規模で進展しているという点なのです。
それはとくに大都市の消費文化においてはなはだしいのです。

『「である」ことと「する」こと』

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