細川景一

うららかな春の日ざしは山にも川にも、野にも町にも、貧者の茅屋(ぼうおく)にも富者の金殿(きんでん)にも、一様に降りそそぎ、少しも高下、厚薄(こうはく)はありません。まったく一様にして平等です。しかし、よく見れば、花といっても梅の花もあれば、桜の花もあり、桃の花もあります。同じ梅といっても長い枝もあり、短い枝もある。大きく咲いた花もあれば、咲く前に散っていく花もあります。差別は歴然としています。「春色高下無く、花枝自ずから短長」。仏教の説く平等即差別、差別即平等の根本思想をさしています。

『白馬蘆花に入る -禅語に学ぶ生き方-』

 

太字=引用者
参照:http://www.rinnou.net/cont_04/zengo/070401.html