クリストファー・スタイナー

ゴットフリート・ライプニッツは、同時代を生きたアイザック・ニュートン同様、大変な博学者だった。彼の知識と好奇心は、ヨーロッパ大陸のありとあらゆる事象におよんだ。哲学についてライプニッツは、この世には絶対不変なものが二つ存在すると唱えた――神と無だ。すべてのものはこの二者に端を発すると。彼が0と1の二つの数字だけでデータを定義するプログラミング言語の発明者だというのもうなずける。
ライプニッツはこの仕組みを発展させ、すべての数字および四則演算を1と0からなる二進法言語であらわそうとした。

ライプニッツは誰よりも早く人工知能というものを発案していた。彼は、認知的思考や論理は一連の二者択一の選択肢にまで分解できると述べている。思考が複雑であればあるほど、それを説明するためのいわゆるシンプルな概念が必要となってくる。それに対して複雑なアルゴリズムは、シンプルなアルゴリズムの膨大な積み重ねだ。論理は、巨大な鉄道ネットワークの一部をなすひとつのポイントのように細かく分解していくことができる。論理が一連の二者択一の選択肢に分解できるなら、たとえそれが膨大な数になったとしても、それを選択するのが人間である必要はないのではないか? 論理的思考を機械的な処理に変換させていくというライプニッツの夢は、彼自身が設計した機械に端を発する。

『アルゴリズムが世界を支配する』(p.97-99)