アーサー・C・クラーク

電子新聞の細かい見出しを見ていて、もうひとつ思いだされることがある。コミュニケーション手段が発達するにつれ、その中身がますますくだらなく、けばけばしく、陰惨に見えてくることだ。事故、犯罪、天災、人災、紛争のきざし、暗い社説──宇宙空間にばらまかれる何億何兆ものことばの主たる内容は、いまだにそんなものらしい。とはいえ、それも決して悪くはないかもしれないと思う。これは昔から変わらぬフロイドの考えなのだが、ユートピアの新聞はおそろしく退屈なものにちがいないからだ。

『2001年宇宙の旅〔決定版〕』

参照:http://ebook-q.tumblr.com/post/129700862058/b00dzc067c