鈴木大拙

自力というのは、自分が意識して、自分が努力する。他力は、この自分がする努力はもうこれ以上できぬというところに働いて来る。他力は自力を尽くしたところに出て来る。窮すれば通ずるというのもこれである。意識して努力の極点に及ぶというと、もうこれ以上はできぬと思うところがある。ここを突破する、いわゆる百尺竿頭一歩を進めるというか、とにかくも一歩踏み出すというと、ここに別天地が拓けてくる。そこに自分の意識していなかった力が働き出る。それを真宗の人は他力と名づける。禅宗の方では大死一番ということになる。

『禅とは何か』(p.118)

 

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