荘子

明王の治は、功は天下を蓋(おお)えども、己(おの)れよりせざるに似たり。化(か)は万物に貸(ほどこ)せども、而(しか)も民恃(たの)まず。有れども名を挙ぐる莫(な)く、物をして自(おの)ずから喜ばしむ。不測に立ちて無有に遊ぶ者なり。

為政者の仕事の効果は天下を覆っていながら、しかもそれを為政者のお陰とは思わない。教化感化は万人に及びながらも、人々はなにゆえの変化か知らないから何かを頼ることもない。政治の力ははっきりありながらしかも気づかれず、人は自然に喜んで暮らしている。明王とは、どう変化するか先の予測がつかない状態で、人がそれと気づかないあり方を遊ぶ存在なのである。

荘子』(応帝王篇)

強調引用者


参照:http://textview.jp/post/culture/20439

関連:http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2015/12/26/205605
http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2016/03/15/220546