ダニエル・カーネマン

企業の成功あるいは失敗の物語が読者の心を捉えて離さないのは、脳が欲しているものを与えてくれるからだ。それは、勝利にも敗北にも明らかな原因がありますよ、運だの必然的な平均回帰だのは無視してかまいませんよ、というメッセージである。こうした物語は「わかったような気になる」錯覚を誘発し、あっという間に価値のなくなる教訓を読者に垂れる。そして読者の方は、みなそれを信じたがっているのである。

『ファスト&スロー(上)』(p.364-365)

 

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