飯田泰之

例えば「自由競争がすばらしいかどうか」、というのに対して、経済学が答えは持っていないと思うんですね。例えば貿易は、基本的に貿易、自由貿易のほうが、社会全体での余剰と呼ばれる経済的な豊かさの指標は高くなる。ここまでは経済学で言っていいんですけれども、では経済的な豊かさはいいよと。そんなものを犠牲にしてでも守るべきことがあるんだと言われた場合、それに対する反論は、経済学の内部の論理にはないはずなんですね。
それをなぜかビジネス誌で受けるタイプの経済学者さんは、あたかも経済学的に「いや、経済よりも重要なことがあるんだ」というのが批判できるかのような雰囲気の言説を流す。これは危険だと思いますよ。

(http://diamond.jp/series/collabo/10004/?page=3)