社会

戸坂潤

思想とはあれこれの思想家の頭脳の内にだけ横たわるようなただの観念のことではない。それが一つの社会的勢力として社会的な客観的存在をもち、そして社会の実際問題の解決に参加しようと欲する時、初めて思想というものが成り立つのである。 (『日本イデオ…

小林秀雄

実生活を離れて思想はない。しかし、実生活に犠牲を要求しないような思想は、動物の頭に宿っているだけである。社会的秩序とは実生活が、思想に払った犠牲にほかならぬ。その現実性の濃淡は、払った犠牲の深浅に比例する。伝統という言葉が成立するのもそこ…

飯田泰之

例えば「自由競争がすばらしいかどうか」、というのに対して、経済学が答えは持っていないと思うんですね。例えば貿易は、基本的に貿易、自由貿易のほうが、社会全体での余剰と呼ばれる経済的な豊かさの指標は高くなる。ここまでは経済学で言っていいんです…

ドストエフスキー

「(前略)彼らに言わせれば、いっさいが≪環境にむしばまれた≫ためなのだ、――それ以外は何も認めない!彼らの大好きな文句だよ!この論でいくと当然、社会がノーマルに組織されたら、たちまちいっさいの犯罪もなくなる、ということになる。抗議の理由がなく…

7つの社会的大罪 (Seven Social Sins)/マハトマ・ガンジー

理念のない政治 (Politics Without Principles) 労働に基づかない富 (Wealth without Work) 良心を伴わない喜び (Pleasure without Conscience) 人格を伴わない知識 (Knowledge without Character) 道徳心を伴わない商い(Commerce without Morality) 人間性…

内田樹

人間の中心に「人間そのもの」――普遍的人間性――というものが宿っているとすれば、それはその人がどんな身分に生れようと、どんな社会的立場にいようと、男であろうと女であろうと、大人であろうと子供であろうと、変わることはないはずです。マルクスはその…

中井久夫

整頓、清潔、少なくとも清潔化(きよめ)の儀式、整序された世界の裏側にうごめく魑魅魍魎(おばけ)の世界とそれへの呪術の干渉、そして間歇的な攻撃性と奔騰、権力と支配の秩序――これはまさに強迫症の構造そのままである。「文化にひそむ不快なるもの」(…

斉藤環

(ひきこもりの問題とは――引用者注)社会的な自明性が衰弱していることにあると言えるかもしれない。 (斉藤環「ひきこもりと社会性」)

宮台真司

マズローの欲求階層論によれば、生存の欲求が満たされても、安全の欲求があり、安全の欲求が満たされても、所属と承認の欲求や、自己実現の欲求が生じます。この議論のポイントは二つ。例えば安全の欲求から見て自己実現の欲求がゼイタクに見えても、下位の…

司馬遼太郎

日本人はどうも、社会を壊してしまうことはいけないことだ、と思っているようなのです。そして、社会を組みあげていくことが正義だと思っているらしい。一つの社会が壊れたら、すぐに新しい社会を組みあげていきましょう、ということがある。新しい社会がで…

宮沢賢治

おれたちはみな農民である ずいぶん忙がしく仕事もつらいもっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたいわれらの古い師父たちの中にはそういう人も応々あった近代科学の実証と求道者たちの実験とわれらの直観の一致に於て論じたい世界がぜんたい幸福になら…

小林秀雄

社会のあるがままの錯乱と矛盾とをそのまま受納する事に堪える個性を強い個性という。彼の眼と現実の間には、何等理論的媒介物はない。彼の個人的実践の場は社会より広くもなければ狭くもない。こういう精神の果しない複雑の保持、これが本当の意味の孤独な…