ニーチェ

「わたしは身体であり魂である」――これが幼な子の声なのだ。なぜ、ひとは幼な子のように語ってはいけないのか?
さらに目ざめた者、識者は言う。わたしはどこまでも身体であり、それ以外の何物でもない。そして魂とは、たんに身体における何物かをあらわす言葉にすぎない。
身体はひとつの大きな理性だ。ひとつの意味をもった複雑である。戦争であり平和である。畜群であり牧者である。
あなたが「精神」と呼んでいるあなたの小さな理性も、あなたの身体の道具なのだ。わが兄弟よ。あなたの大きな理性の小さな道具であり玩具なのだ。
「わたし」とあなたは言い、この言葉を誇りとしている。しかし、もっと大きなものは、――それをあなたは信じようとしないが――あなたの身体であり、その大きな理性である。それは「わたし」と言わないで「わたし」においてはたらいている。

ツァラトゥストラはこう言った