松下幸之助

我われがまず基本として考えなくてはならないのは、企業は社会の公器であるということです。つまり個人のものではない、社会のものだと思うのです。

また、企業がその活動をしていくためには、土地とか資金とかいろいろな物資を使わなくてはなりません。これもかたちの上では企業のものであっても、本来は、社会のものだと言えるのではないでしょうか。ただ、それをよりよく活用し、社会全体を好ましい姿で維持していくために、制度の上で企業のものとしている、いわば企業に預けているのだと考えられます。

そうしてみますと、人、金、土地、物、つまり企業の活動に必要なもろもろの要素はすべて本来、天下のもの、公のものであるということになります。したがって、そういう社会のものを社会から預かって仕事をしている企業自体、社会のもの、公器であると考えなくてはならないと思います。

 「企業の社会的責任とは何か?」