松田卓也

映画『マトリックス』に、こんなシーンがありますね。主人公のネオがはじめてヴァーチャル空間に連れて行かれた時、「これは現実なのか(is this real?)」と聞く。するとモーフィアスは「現実とは何だ(what is real?)」と返す。要するに、リアルであろうがヴァーチャルであろうが、すべては脳の電気信号にすぎないではないか、というわけです。科学者はそう見る。ところが多くの人、とくに文科系の人は、これをなかなか受け入れられませんね。彼らに取っては人間が一番偉い、人間だけは特別であってほしいのです。文科系の学問というのは、ようするに人間についての学問ですから。

人格とは、顔やかたちはもちろんありますが、結局は思想、もっと簡単にいえば、言ったことにたいしてどう返してくるか、入力と出力で決まる関数です。それが個性と呼ばれているもので、人格や魂はしょせん、応答関数なのです。

 http://wired.jp/special/transcendence/