松田卓也

――人工知能が発達し、いままで人間がやってきたことを肩代わりする一方で、人間には何が残るのでしょうか?

 

最後に残るのは遊ぶこと、くらいでしょうか。理想の世界は、生産はすべて機械がやって、人間は遊ぶだけ。でも、お茶とかお花とかは、いかにルールがあろうが、ロボットがやってもしかたないですからね。そうすると、それを教える先生は必要ですね。

マーティン・フォードという人は、ロボット化や人工知能化が進んだ後に一種の共産主義革命が起こると言っています。わたしもそう思います。北欧スタイルの社会主義と言ってもかまいません。

マルクスが描いたユートピアは、誰も働かないで仕事はみんな機械にさせて、人間は遊んでいる社会。それを実現するために、人工知能計画経済をやらせればよいのです。

計画経済とは最適値問題です。予算の配分とは、たとえて言うなら巨大なエクセルの表に数字を埋めていくことでしょう。ただ、項目が多すぎて人間には最適解が見えない。人間は所詮馬鹿ですから、すべて人工知能にまかせればいい。仮に予算の項目が1万項目あるなら、1万次元空間の中で国民の幸せの総量を最大にする解をコンピューターに探させる。幸せの総量をどう定義するかという問題はありますが、その目的関数さえ決まれば、後は最適値問題を解くだけです。以前、この話をある新聞社の人にしたら、すごく関心をもっていましたね。

しかしこれも現実には難しい問題があります。分配するというのは、持てるものから奪って、持たざる者へ渡すことでしょう。そんなことを金持ちが許すはずがありません。いまアメリカでは、金持ちだけで街をつくって自分たちの税金を自分たちだけで使おうという動きがあるほどです。金持ち・支配層が所得の再分配などさせないでしょう。

 http://wired.jp/special/transcendence/

関連:http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2015/03/01/004656