埴谷雄高・立花隆

立花 面白いのは、今、コンピュータがどんどんどんどん高性能化して大きくなって複雑化するでしょう。そうすると、ソフトがどんどん複雑になって追いつかないんですよ。で、今いちばん新しく出てきた考えが、自己増殖して進化するソフトを作ろうということです。

 

埴谷 ぼくの革命だ。存在の革命は、自己増殖して進化するというのがぼくの『死霊』なんですよ(笑)。それが実現すれば、ぼくは『死霊』を書く必要はないですよ。(p.212)

埴谷 (…)だから満たされない魂を満たすことは、社会保障だけではだめだと。

 

立花 満たされざる魂という問題になると、生命の生きてるという在り方そのものが満たされない状態ということですね。

 

埴谷 それでぼくは「生と存在の革命」と言ってるんですよ。だからコンピュータのことを言ったのは、生をどういうふうにするかということが最大の問題。オスとメスがいなければ子供が生まれないという形式と、もう一つはほかの生物を食わないと、食物連鎖がなければ生きられない。しかも人間は食物連鎖の最後で、いろんなものを全部食って生きてる。その生物の在り方自体をどういうふうに解決するかです。(…)単性生殖で完全に出来るようになる。そうすると、ぼくの言う生と存在の革命はものすごいことになっちゃいます。食物と性の問題が解決したら、人間は超人間になれますね。
(p.251-253)

  埴谷雄高立花隆無限の相のもとに

 

関連:http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2015/05/27/042330
http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2016/01/31/234902