小室直樹

あらためて述べるまでもなく、憲法の急所は「基本的人権」です。基本的人権が守られていなければ、その憲法は死亡宣告を受ける。中でも最も大切なのが、生命、自由の権利です。
だからこそ、日本国憲法第13条にも国民の「生命、自由、幸福追求に対する権利」が謳われ、この権利こそ「国政の上で、最大の尊重を必要とする」と強調されています。この第13条はアメリカ合衆国の独立宣言に由来して、文章まで同じです。さらにそれを遡れば、ロックの思想に由来する。まさに第13条の規定こそ、憲法の急所、憲法の生命線なのです。

『日本人のための憲法原論』(p.452)