団藤重光

法はわれわれにとって所与ではなくて課題である。法は、つねに形成――しかも主体的な形成――の途上にあるといってよい。ファウストは、メフィストフェレスに、「わたしが瞬間にむかって、『止まれ、お前はかくも美しい!』といったら、わたしは滅びてもいい」と約束し、快楽と苦悩の長い遍歴の最後に、ついに、そのことばを発すると同時に地上に倒れ、やがて天上に上げられる。苦悩に充ちた未完成こそが人間の姿であり、完成は人間の終焉である。人間社会の反映としての法もまた、永遠に未完成なものであり、つねに形成途上のものである。

『法学の基礎 第2版』(p.7)

 

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