ゲーテ
啓示を切望する。新約聖書ほど啓示のあふれた書物がまたとあるだろうか。原典をひもといて、その語るところを、ごく素直な気持で好みのドイツ語に訳してみるのはどうだろう。
これはどうだ、「初めに言葉ありき」。はやくもこだわってしまうのだが、さて、どうしたものか。初めに言葉とは、うなずけない。べつのものに変えなくては。これでどうだ、「初めに思いありき」。ゆっくり落ち着いて、みだりにペンを走らせぬこと。「思い」ですべてがあらわせたのか。何であれ生み出して動かすのは「思い」であろうか。むしろ、これはどうだ、「初めに力ありき」。書いたとたんに、ぴったりしないのがよくわかった。霊が助け船を出してくれたのか、ひらめいたぞ、つまり、こうだ。「初めに行為ありき」。