2013-11-08から1日間の記事一覧
快はたしかに人間の心の動きの指針となり、美徳へも悪徳へも導いてくれる。痛みも同じだ。しかし、痛みと快は一本の棒の両端ではない。(…)愛の反対が憎しみではなく無関心であるのと同じように、快の反対は痛みではなく倦怠、つまり感覚と経験への興味の欠…
苦しむことはもちろん苦しい。しかし、自分を行為に駆り立ててくれる動機がないこと、それはもっと苦しいのだ。何をしてよいのかわからないというこの退屈の苦しみ。それから逃れるためであれば、外から与えられる負荷や苦しみなどものの数ではない。自分が…
それにしても諸君は、ただ正常で、肯定的なもの、つまりは泰平無事だけが人間にとって有利であるなどと、どうしてまたそれほど頑固に、いや誇らしげに確信しておられるのか? いったい理性は利害の判断を誤ることがないのか? ひょっとして、人間が愛するの…
苦悩を求める欲望。――みながみな退屈に耐えられず自分自身に我慢できなくなっている行く百万という若いヨーロッパ人を、たえずくすぐったり刺戟したりするところの、何かをしたいというあの欲望のことに考えおよぶとき、――自分たちの苦悩から行動や行為のた…