人間

ゲーテ

支配したり服従したりしないで、それでいて何者かであり得る人だけが、ほんとに幸福であり、偉大なのだ。 (「ゲッツ」第一幕から/ゲーテ『ゲーテ格言集』145項 多数というものよりしゃくにさわるものはない。なぜなら、多数を構成しているものは、少数の有…

ヴァレリー

われわれは、お互に誤解し合う程度に理解し合えば沢山だ (ヴァレリー/小林秀雄「モオツァルト」55頁より孫引き)

夏目漱石

「僕は死んだ神より生きた人間の方が好きだ」兄さんはこう云うのです。(中略)「車夫でも、立ん坊でも、泥棒でも、僕が難有(ありがた)いと思う刹那の顔、即ち神じゃないか。山でも川でも海でも、僕が崇高だと感ずる瞬間の自然、取りも直さず神じゃないか…

小林秀雄

生きている人間などというものは、どうも仕方のない代物だな。何を考えているのやら、何を言い出すのやら、仕出来(しでか)すのやら、自分の事にせよ他人事にせよ、解った例しがあったのか。鑑賞にも観察にも堪えまい。其処に行くと死んでしまった人間とい…

小林秀雄

時間というものが、私達の認識の先天的形式であろうが、第四次元という世界の計量的性質であろうが、どうでもいい事だ。そういう曖昧さの少しもない、そう考えるより他にどうしようもない観念を、じっと黙って考えているなどという芸当は、誰にも出来ない。…