ピンク・フロイド

倦怠にまみれた一日を刻む時計の音
お前はただ無造作に時を浪費していくだけ
故郷のちっぽけな土地から出ようともせず
手を引いて導いてくれる誰かか何かを待つだけ

陽だまりの中で寝そべることに飽き飽きして
家の中から降りしきる雨を眺める毎日
若いお前にとって人生は長く
どんなに無駄に使ってもあり余るほどだ
だがいつかお前は10年があっという間に過ぎ去ったことに気づく
いつ走り出せばいいのか誰も教えてくれない
そう お前は出発の合図を見逃したのだ

太陽に追いつこうと お前はひた走る
だが 太陽は沈んだかと思うと
やがてお前の背後から再び姿を現す
相対的に見れば 太陽はいつまでも変わらず
お前だけがそうして年老いていく
息切れはますます激しく
お前は刻一刻と死に近づいていく
歳月は年一年と矢のように過ぎ去り
お前は息をつく暇もない
お前の企みはすべて失敗に終わり
残ったものは書きなぐった予定表だけ
そしてお前は英国人らしく
ひそかに絶望に身をゆだねていく
時は過ぎゆき 歌もいつしか終わりを迎える
もっと言いたいことがあったはずなのに・・・

(「Time」/Pink Floyd『The Dark Side Of The Moon』)