ヴァレリー

僕は正確という烈しい病に悩んでいた。理解したいという狂気じみた欲望の極限を目がけていた。そして、自分の裡に、自分の注意力の急所を捜し廻っていた。
それ故、様々な思想の持続を、少しでも増大する為には、出来るだけの事をした。容易な事は、すべて無視した。殆ど敵視した。

(「テスト氏」/小林秀雄訳)