松田卓也

――人類を滅ぼす可能性があっても、人類は「神のような機械」を作るべきなのでしょうか?


それについては、賛成派と反対派にわかれるでしょう。

 

デ・ガリスは、賛成派を「コスミスト」=「宇宙派」、反対派を「テラン」=「地球派」と呼んでいます。宇宙派は「人類ごときが宇宙の進化をとめてはいけない。たとえ人類が滅んでも神となる人工知能をつくるべき」という人たち。一方、地球派は「人類がもっとも大切だ。人類を滅ぼすような人工知能は不要だ」という。

デ・ガリスは、21世紀後半に地球派と宇宙派の間で大戦争がおき、「ギガ・デス」、すなわち、数十億人が死ぬことになるだろうと言います。これは「人工知性戦争」と呼ばれ、欧米の一部では大きな論争を呼んでいます。

ここで人工知能の進化には、2つの見方があると思います。ひとつは人工知能と人間が敵対するという、デ・ガリスのような考え。映画でいうと『ターミネーター』や『マトリックス』で描かれた未来像ですね。

 

もうひとつは、カーツワイルらが主張する、インテリジェンス・アンプリフィケーション=知能増強という考え方。これは人工知能と人間が融合して、人間の個性を保ったまま知能を増強し、「超人類」になるというもの。いわゆる「サイボーグ派」です。

映画『トランセンデンス』の主人公、ウィルも「サイボーグ派」と言えるでしょう。生身の肉体はなくなっているけど、個性や人格はあるという点で、人間とも言えるわけです。ただ、すごい知能をもった「超人類」なのです。僕は、こちらの方向に進めばいいと思います。

http://wired.jp/special/transcendence/