ジョナサン・ハイト
人類は無条件にあらゆる人々を愛するべく設計されている、と信じられるのならとてもすばらしい。しかし進化論的な観点から言えば、そんなことはまずあり得ない。
初期の人類は、部族の道徳マトリックスのもとで生活する能力の有無に基づいて友人やパートナーを選択し始めたとき、自己家畜化のプロセスをたどった。
家畜化は一般に、成体になると消滅するはずの特徴を、死ぬまで保ち続けるよう働きかけるのだ。かくして(人間を含め)家畜化された動物は、野生の祖先に比べて穏やかで、社会性が高く、また子どものように見える。
『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』