精神医学のもっとも基底にあるテーマが、逸脱と適応であるとすると、それは当然、わたしたちの社会の常識(共通感覚/コモンセンス)を核にすえたものとならざるをえない。これに反(アンチ)をとなえ、常識を解体し、分裂病者という疎外された少数者のがわに立つことを宣言した反精神医学は、結局、精神医学とともにこの市民社会という現実そのものを否定するにいたる。家族の革命であり、社会の革命である。

(『精神病を知る本』43頁)