ジョン・ロールズ

社会のどこに生まれるかを自分では決められないように、生来の資質も自分では決められない。能力を開花させるために努力するという優れた性質を備えているからと言って、それは自分にその価値があるからだと考えるのも問題だ。このような性質は、恵まれた家庭や幼少期の社会環境など、自分の功績とは呼べないものによるところが大きいからである。

 『正義論』(矢島鈞次訳 紀伊國屋書店