2007-01-07から1日間の記事一覧

ランボー

嘗ては、若し俺の記憶が確かならば、俺の生活は宴であった、誰の心も開き、酒という酒は悉く流れ出た宴であった。 或る夜、俺は『美』を膝の上に座らせた。――苦々しい奴だと思った。――俺は思いっ切り毒附いてやった。 俺は正義に対して武装した。 俺は逃げた…

中原中也

人間が不幸になつたのは、最初の反省が不可なかつたのだ。その最初の反省が人間を政治的動物にした。然し、不可なかつたにしろ、政治的動物になるにはなつちまつたんだ。私とは、つまり、そのなるにはなつちまつたことを、決して咎めはしない悲嘆者なんだ。 …

埴谷雄高

人間は何故かくあるかを問うことはできない、とは、永劫の不可能の標識を掲げたいわば存在論ふうな暗い凹型の問いかけである。このような種類の問いかけを大きな特別の括弧にいれておき、自己の社会的存在についてなんらかの凸型の回答を提出し得る灰色の薄…