2015-12-01から1日間の記事一覧

小室直樹

空とは有無を超越し、相互依存と同義である。モデル、仮説、すなわちアリストテレス論理学を用い、絶対の真理の存在を前提に考えられた論理に対し、ナーガールジュナの説いた、すべてを仮のものとする空の発想がまさにこれなのである。近代の科学が現代にい…

龍樹

〈有り〉というのは常住に執著する偏見であり、〈無し〉というのは断滅を執する偏見である。故に賢者は〈有りということ〉と〈無しということ〉に執著してはならない。 『中論』(第15章・第10詩)/『龍樹』(p.355) 関連:http://hideasasu.hatenablog.co…

中村元

元来ブッダは仏教外の諸派の説を断または常の見解に堕するものとして排斥したのであるから、かりそめにも仏教徒たるものはけっして断滅と常住との偏見をもつことは立場上許されない。すなわちいかなる個人存在もまたいかなる事物も永久に存在する(常住)と…

渡辺政隆

今から150年前、ダーウィンは満を持して『種の起源』を世に問うた。その書では、当時の人々が密かに恐れていた宣告が雄弁に語られていた。すなわち、「ヒトはどこから来てどこへ行くのか」という問いかけとその答が。『種の起源』以後、ヒトは神の祝福を受け…

荒木優太

いうべきことを端的に要約しておこう。「しかない」論者には「しかたない」という根本的な感情があるかもしれない。しかし今日、様々な「仕方」は存在する。もちろん、そのすべてが意に適うような有効なものだと言う気はない。しかし「しか(た)ない」とい…