2016-02-06から1日間の記事一覧

パスカル

私はデカルトを許せない。彼はその全哲学のなかで、できることなら神なしですませたいものだと、きっと思っただろう。しかし、彼は、世界を動きださせるために、神に一つ爪弾きをさせないわけにはいかなかった。それからさきは、もう神に用がないのだ。 『パ…

ソクラテス

しかしながら、諸君、真に賢明なのは独り神のみでありまた彼がこの神託においていわんとするところは、人智の価値は僅少もしくは空無であるということに過ぎないように思われる。そうして神はこのソクラテスについて語りまた私の名を用いてはいるが、それは…

内田樹

ジェインズの仮説は、この「自己同一的な私」というものが人類史に出現してきたのは、私たちが想像するよりはるかに近年になってからであろうというものである。「自己同一的な私」が登場する以前には、「それまでの人生で積み重ねてきた訓戒的な知恵をもと…

河合祥一郎

哲学者ニコラウス・クザーヌスの「神の照覧あるが故に我在るなり」(神様が私をご覧になっているから、私は存在する)という言葉に象徴されるように、中世における自我は、自分ひとりで存在することはできず、常に神とともに受動的に世界に在るというもので…

吉川浩満

はじめに──フロイトの二段階革命 本稿は、人間の思考、なかんずくその合理性と主体性をめぐって進行している知識革命にかんする中間報告である。 ジークムント・フロイトはかって、人類は科学によって三度自尊心を傷つけられた、と語った。コペルニクスの天…