ドストエフスキー

「私の結論は、私がそもそもの出発点とした当初の理念とまっこうから矛盾するにいたったのです。無制限の自由から出発しながら、私の結論は無制限の専制主義に到達したのであります。しかしながら、つけ加えますと、社会形態の問題は私の解決以外にけっして解決されえないのであります」(シガリョフ)

「彼(引用者注:シガリョフ)はですね、問題の最終的解決策として、人類を二つの不均等な部分に分割することを提案しているのです。その十分の一が個人の自由と他の十分の九に対する無制限の権利を獲得する。で、他の十分の九は人格を失って、いわば家畜の群れのようになり、絶対の服従のもとで何代かの退化を経たのち、原始的な天真爛漫さに到達すべきだというのですよ、これはいわば原始の楽園ですな、もっとも、働くことは働かなくちゃならんが」(びっこの教師)

(『悪霊』第二部/江川卓訳)


関連:http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2015/03/01/004656
http://hideasasu.hatenablog.com/entry/2013/11/13/020903