高橋恒一

たとえば人間の持つ「感情」について考えてみましょう。私たちは、「気分がいい」という理由で楽しい行動をとります。逆に気分がよくなければ、気分をやわらげるような行動をとります。一体なぜでしょう?
この時に脳でどんなことが起こっているのかを考えてみると、実は感情の働きが、大脳新皮質の情報処理を効率化している可能性があるのです。
私たちは感情によって、「気分がいいから楽しいことをする」ことができる。つまり、感情によって即座にかつ、効率的に意思決定を行うことができるのです。もしも感情が無ければ、目の前の様々な状況を並列的に考えなければならず、それぞれの可能性を多層的・多重的に検討して意思決定する必要があるために、プロセスが複雑化し、非効率になるのです。時に面倒な人間の感情は、このようにして脳の情報処理に役立っている可能性があるのです。

 

このような脳の働き全てを包括的に考え、人工知能に置き換えていこうとするのが全脳アーキテクチャの考え方なのです。現在、GoogleFacebookIBMも、大脳新皮質の部分のモデルに注力したディープラーニング技術を核に人工知能を開発しています。これに対し、脳全体に目を配ろうとするのが全脳アーキテクチャの独自性であり新規性なのです。日本初の汎用人工知能技術として、世界に勝負を仕掛けていきたいと思っています。

 最先端の人工知能開発者は今、何を考えているのか?

 

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