谷川俊太郎

人類は小さな球の上で 眠り起きそして働き ときどき火星に仲間を欲しがったりする 火星人は小さな球の上で 何をしてるか 僕は知らない (或はネリリし キルルし ハララしているか) しかしときどきに地球に仲間を欲しがったりする それはまったくたしかなこ…

室生犀星

ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや うらぶれて異土の乞食(かたゐ)となるとても 帰るところにあるまじや ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて 遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや (「小景…

いろはにほへと

いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせすん 色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず (参考:http://www2.odn.ne.jp/~nihongodeasobo/koni…

ランボー

嘗ては、若し俺の記憶が確かならば、俺の生活は宴であった、誰の心も開き、酒という酒は悉く流れ出た宴であった。 或る夜、俺は『美』を膝の上に座らせた。――苦々しい奴だと思った。――俺は思いっ切り毒附いてやった。 俺は正義に対して武装した。 俺は逃げた…

中原中也

人間が不幸になつたのは、最初の反省が不可なかつたのだ。その最初の反省が人間を政治的動物にした。然し、不可なかつたにしろ、政治的動物になるにはなつちまつたんだ。私とは、つまり、そのなるにはなつちまつたことを、決して咎めはしない悲嘆者なんだ。 …

トム・ヨーク

よりよい適応、よりよい幸福、より高い生産性もっと快適に酒はほどほどにジムで定期的に運動を(週に3回)同僚とは仲良く、時代に遅れず肩の力を抜いてよく食べ(冷凍食品と脂肪は控えて)忍耐強い優良ドライバーにより安全な車(バックシートには笑顔の赤ん…

ピンク・フロイド

倦怠にまみれた一日を刻む時計の音 お前はただ無造作に時を浪費していくだけ 故郷のちっぽけな土地から出ようともせず 手を引いて導いてくれる誰かか何かを待つだけ陽だまりの中で寝そべることに飽き飽きして 家の中から降りしきる雨を眺める毎日 若いお前に…

ランボー

この俺、嘗ては自ら全道徳を免除された道士とも天使とも思った俺が、今、務めを捜そうと、この粗々しい現実を抱きしめようと、土に還る。百姓だ。俺は誑かされているのだろうか。俺にとって、慈愛とは死の姉妹であろうか。最後に、俺は自ら虚偽を食いものに…