2013-01-01から1年間の記事一覧

ドストエフスキー

それにしても諸君は、ただ正常で、肯定的なもの、つまりは泰平無事だけが人間にとって有利であるなどと、どうしてまたそれほど頑固に、いや誇らしげに確信しておられるのか? いったい理性は利害の判断を誤ることがないのか? ひょっとして、人間が愛するの…

ニーチェ

苦悩を求める欲望。――みながみな退屈に耐えられず自分自身に我慢できなくなっている行く百万という若いヨーロッパ人を、たえずくすぐったり刺戟したりするところの、何かをしたいというあの欲望のことに考えおよぶとき、――自分たちの苦悩から行動や行為のた…

リチャード・ドーキンス

われわれが死後に残せるものが二つある。遺伝子とミームだ。われわれは、遺伝子を伝えるためにつくられた遺伝子機械である。しかし、遺伝子機械としてのわれわれは、三世代もたてば忘れられてしまうだろう。子どもや、あるいは孫も、われわれとどこか似た点…

池谷裕二

(…)自由意志は存在するかと聞かれたら私は、自分が「自分は自由だ」と信じているのなら「存在する」と言っていいと思います。ただし、「自分は自由だ」と感じる「意識」とは、脳の活動の大半を占める無意識から見たら、表層的な飾り物にすぎない。自由は、…

高間大介

私たちの祖先はもともと、客観的に世界を眺めていたことなど、ほとんどなかったはずだ。そこに危険が潜んでいないか、利益をもたらすモノはないか、切実に眺めていたほうがはるかに多かったにちがいない。脳も当然、その用途に適すものになっているというこ…

長谷川眞理子

人間のもっとも特殊なところは、自分がつくりだしたものが自分の一番大事な環境になっているという点です。その文化というもの、社会というものが自分の一番順応しなければいけない環境になっていて、新しい文化がつくられると、それが跳ね返って、自分の遺…

國分功一郎

人は習慣を創造し、新しい環世界を獲得していく。そうすることで周囲をシグナルの体系へと変換する。なぜそうするのかと言えば、ものを考えないですむようにするためである。四六時中新しいものに出会って考えていては生きていけない。ならば逆に、人がもの…

中村量空

秩序と乱雑の二つの世界は、いずれも複雑なものではない。私たちにとって厄介なのは、両者のあいだに位置する世界である。秩序がありそうだが、なさそうでもある。乱雑なようでもあるが、乱雑でないようでもある。わかりそうでわからない。そのような世界が…

池谷裕二

進化の話をするとき、ヒトには楽しいとかユーモアというポジティブな感情があるけれども、下等な動物にはなさそうだ、だからヒトのほうが高等だと考える人がいます。たしかにそういう側面はあるかもしれませんが、私はこういう考えをあまり持ちません。むし…

玄侑宗久

あらゆる命はたえず無限の関係性のなかで変化しながらいろんな形に展開していくだけ。そのグラデーションの、境目のない変化の波の特定のポイントを「誕生」とか「死」と呼ぶのは、物事を固定化したがる脳の仕業ということです。 そう考えると、「生まれた」…

下條信輔

どうやらヒトには元来、秩序や因果を発見しようとする強い認知傾向があるようです。本来意味やつながりがないとわかっているランダムな出来事や事象にも、意味や因果、あるいは法則を見出そうとする。これは非常に根強い、ヒトの本質的な性向です。逆にいえ…

スピノザ

感情は、それと反対の、しかもその感情よりもっと強力な感情によらなければ抑えることも除去することもできない。 『エチカ』

柄谷行人

スピノザの『エチカ』のオプティミズムは、フロイトのこのペシミズムとちょうど表裏の関係にある。それは希望の物語をもたないがゆえに絶望をもたない。それは意味・目的をもたないがゆえに無意味をもたない。一方では、希望・意味をもたないがゆえにペシミ…

ジャレド・ダイアモンド

「人生の意味」というものを問うことに、私自身は全く何の意味も見出せません。人生というのは、星や岩や炭素原子と同じように、ただそこに存在するというだけのことであって、意味というものは持ち合わせていない。 『知の逆転』 関連:http://hideasasu.ha…

ニーチェ

[ストア派は]「自然にしたがって生きよ」と教えたが、君たちはほんとうに生きることを望んでいただろうか?(…)自然は、際限なしに浪費するし、際限なしに無関心であり、意図も顧慮ももたず、憐憫も正義も知らず、豊饒であると同時に不毛であり、同時に不…

竹内整一

日本語では、「おのずから」と「みずから」とは、ともに「自(か)ら」です。そこには、「みずから」為したことと、「おのずから」成ったこととが別事ではないという理解がはたらいています。われわれはしばしば、「今度結婚することになりました」とか「就…

真木悠介

われわれの行為や関係の意味というものを、 その結果として手に入る 「成果」 のみからみていくかぎり、 人生と人類の全歴史との帰結は死であり、 宇宙の永劫の暗闇のうちに白々と照りはえるいくつかの星の軌道を、 せいぜい撹乱しうるにすぎない。 いっさい…

エーリッヒ・フロム

たくさん持っている人が豊かなのではなく、たくさん与える人が豊かなのだ。ひたすら貯めこみ、何か一つでも失うことを恐れている人は、どんなにたくさんの物を所有していようと、心理学的にいえば、貧しい人である。 『愛するということ』

老子

道は常に無為にして、而も為さざるは無し。 『老子道徳経』

ドストエフスキー

結局のところ、諸君、何もしないのがいちばんいいのだ!意識的な惰性がいちばん!だから、地下室万歳!というわけである。 『地下室の手記』

パスカル

気を紛らすこと。 人間のさまざまな立ち騒ぎ、宮廷や戦争で身をさらす危険や苦労、そこから生ずるかくも多くの争いや、情念や、大胆でしばしばよこしまな企て等々について、ときたま考えた時に、私がよく言ったことは、人間の不幸はすべてただ一つのこと、す…

ディオゲネス

何もしないこと。それが平和だ。

デモクリトス

快活な心のありかたを願う者は、私的にであれ公的にであれ、多くのことをやりすぎてはならない。また、その者は何をなすにせよ、自分の能力や素質以上に望んではならないのだ。むしろ、幸運が偶然に訪れて、より多くのものを指し示してくれる時でも、なお、…

見田宗介

アメリカ原住民のいくつかの社会の中にも、それぞれちがったかたちの、静かで美しく、豊かな日々があった。彼らが住み、あるいは自由に移動していた自然の空間から切り離され、共同体を解体された時に、彼らは新しく不幸になり、貧困になった。経済学の測定…

中村元

大乗仏教、とくにナーガールジュナを祖とする中観派の哲学者たちは次のように主張した。――何ものも真に実在するものではない。あらゆる事物は、見せかけだけの現象にすぎない。その真相についていえば空虚である。その本質を「欠いて」いるのである。(…)無…

福岡伸一

機械には時間がない。原理的にはどの部分からでも作ることができ、完成した後からでも部品を抜き取ったり、交換することができる。そこには二度とやり直すことのできない一回性というものがない。生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れ…

ゴータマ・シッダールタ

33 悪魔パーピマンがいった、 「子のある者は子について喜び、また牛のある者は牛について喜ぶ。人間の執著(しゅうじゃく)するもとのものは喜びである。執著するもとのもののない人は、実に喜ぶことがない。」 34 師は答えた、 「子のある者は子について憂…

ゴータマ・シッダールタ

自己よりもさらに愛しいものは決して存在しない。同様に他の人々にもそれぞれ自己は愛しい。故に自己を愛するものは他人を害してはならぬ。 『相応部』/中村元『原始仏教 その思想と生活』より 関連:利己的な遺伝子

山本七平

われわれ日本人の世界には原則的に言えば相対化はない。ただ絶対化の対象が無数にあり、従ってある対象を臨在感的に把握しても、その対象が次から次へと変わりうるから、絶対的対象が時間的経過によって相対化できる――ただし、うまくやれば――世界なのである…

山本七平

ではここで、われわれはもう一度、何かを決定し、行動に移すときの原則を振りかえってみよう。それは「『空気』の研究」でのべたとおり、その決定を下すのは「空気」であり、空気が醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原…