2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

埴谷雄高

“存在は存在である”といった場合、全存在形式を予覚させず、現在の一存在形式の枠のなかへだけ私達を永劫に縛っておくことしか生じないのですが、我々が生まれると同時に、こうとしか考えられず、こうとしか存在し得なく閉じこめられていること自体がぼくに…

埴谷雄高・立花隆

立花 面白いのは、今、コンピュータがどんどんどんどん高性能化して大きくなって複雑化するでしょう。そうすると、ソフトがどんどん複雑になって追いつかないんですよ。で、今いちばん新しく出てきた考えが、自己増殖して進化するソフトを作ろうということで…

埴谷雄高

――おお、私は、肉体と精神の裡、精神へ賭ける。人間の優位を主張する。この宇宙が自然的に衰滅することなど決してなく、必ず人間的なものによって破壊されると信ずる。人間は、この唯一無二の証明によって、偉大な自己否定に達するのです!そう呻き上げるよ…

松田卓也

AI

――人類を滅ぼす可能性があっても、人類は「神のような機械」を作るべきなのでしょうか? それについては、賛成派と反対派にわかれるでしょう。 デ・ガリスは、賛成派を「コスミスト」=「宇宙派」、反対派を「テラン」=「地球派」と呼んでいます。宇宙派は…

バナール

科学主義者 (…)バナールの想定する未来人は、「複合脳」に進化して宇宙に進出する「科学者」と、「肉体の快楽と健康を享受し、芸術をたしなみ、宗教を愛護してゆく幸福で繁栄した人類」すなわち「人間主義者」とに分かれていきます。地球上で楽しい人生を…

ハルトマン

形而上学者 (…)要するに、人間は苦悩するために存在しているのであり、消滅するに越したことはないのですが、数億年もすれば、再び「宇宙的無意識」は新たな人間を生み出して、彼らが再び苦しまなければなりません。さらに、仮に地球を破壊したとしても、…

デイヴィット・ドイッチュ

宇宙物理学者 (…)オックスフォード大学の量子物理学者デイヴィット・ドイッチュは、知性がコントロールすることのできる宇宙の領域は徐々に拡張し、数億年後には、いわば「超知性」が誕生するだろうと述べています。最終段階において、この「超知性」は宇…

松田卓也

――人工知能が発達し、いままで人間がやってきたことを肩代わりする一方で、人間には何が残るのでしょうか? 最後に残るのは遊ぶこと、くらいでしょうか。理想の世界は、生産はすべて機械がやって、人間は遊ぶだけ。でも、お茶とかお花とかは、いかにルールが…

松田卓也

映画『マトリックス』に、こんなシーンがありますね。主人公のネオがはじめてヴァーチャル空間に連れて行かれた時、「これは現実なのか(is this real?)」と聞く。するとモーフィアスは「現実とは何だ(what is real?)」と返す。要するに、リアルであろう…

埴谷雄高

――宣戦布告にきましたよ。数瞬の沈黙が過ぎ去った。冷静に身動きもせぬ津田康造は、眼もそらさず訊き返した。――どうして私にです。――貴方が極点だからです。――どういう極点?――アジア的思考様式の極点だからです。と、首猛夫は腰を屈めたまま、強く押しこむ…

森三樹三郎

しかし荘子の無為自然というのは、ただの運命随順の思想とは違って、あらかじめ運命のもつ牙を抜きとり、いわば去勢してしまっていることを忘れてはならない。もし人生の幸と不幸が、そのままの姿で迫ってくるのであれば、いかに運命を肯定せよといっても、…

シオラン

私は生を嫌っているのでも、死を願っているのでもない。ただ生まれなければよかったのにと思っているだけだ。(『カイエ』) 在るべきか、在らざるべきか。……どちらもごめんだ。(『告白と呪詛』) 参照:https://twitter.com/Cioran_Jp/status/492176778622…

竹内整一

われわれの「みずから」は「おのずから」でありつつ、かつない、という、こうした「あわい」の問題は、つまるところ、この自己という人間存在が自然でありつつ、かつ、ないという、すぐれて普遍的な「あわい」の問題でもあります。(p.144) 『日本人はなぜ…

三木清

我々の行為は、我々の為すものでありながら、我々にとって成るものの意味をもっている。 『哲学入門』

五木寛之

自力であれ他力であれ、そのあいだで揺れ動く状態を否定的にとらえるのでなく、人間にはその二つのあいだを揺れ動くものであるととらえる。自分はどちらの側なのだ、と頑張るのではなく、肩の力を抜いて、不安定な自分のふらつきを肯定するのです。これが「…

有田隆也

生命のどの階層レベルにおいても、協調関係とみなせるようなユニット間の多様な相互作用が、そのユニットを含む一段上のレベルのユニットを構成している。しかし、その協調関係は安定したものではなく、たえず内部に崩壊の危機をはらむものであり、実際、時…

丸山真男

政治にベストを期待すると言うことは、強力な指導者による問題解決の期待につながります。政治というものは、われわれがわれわれの手で一歩一歩実現していくものだというプロセスを中心にして思考していったものでなければ、容易に過度の期待が裏切られて、…

半藤一利

この十五回にわたる授業を終わるに際して、では昭和史の二十年がどういう教訓を私たちに示してくれたかを少しでもお話してみます。 第一に国民的熱狂をつくってはいけない。その国民的熱狂に流されてしまってはいけない。ひとことで言えば、時の勢いに駆り立…

小松真一

日本の敗因それは初めから無理な戦いをしたからだといえばそれにつきるが、それでもその内に含まれる諸要素を分析してみようと思う。 一、精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事。しかるに作戦その他で兵に要求される事は、総て精兵でなければできない仕事ばか…

池谷裕二

快感と不快感は正反対の感覚のように思いますが、実はメビウスの輪の表裏のように紙一重の違いでしかないようです。たとえば、エルサレム・ヘブライ大学のアヴィーザー博士らは2012年の『サイエンス』誌で、顔写真から、(1)性的エクスタシーに浸って…

荘子

夫れ虚静恬淡、寂漠無為は、天地の平にして道徳の至(質)なり。 『荘子』天道篇(第十三) 参照:http://www.eonet.ne.jp/~kyosyuu/tentan.html

ハイデガー

思索は、己を放棄にすることによって、存在の真理についての語らいを、存在によって語りかけられようにする。思索がこの放棄を遂行するのである。(p.18) 『「ヒューマニズム」について』 参照:http://www.eonet.ne.jp/~kyosyuu/tentan.html

戸田山和久

現在、多くの人々が市民的自由を行使することと、自己責任を引き受けることを直結させている。「誰があんたにそれをしろと強制しました? あんたが自分で選んだんだから、その結果どうなろうとあんたの自己責任でお願いしますよ」という具合。しかし、これま…

伊藤計劃

老人たちがそれぞれのコードを入力し、ハーモニー・プログラムが歌い出した瞬間、人類社会から自殺は消滅した。ほぼすべての争いが消滅した。個はもはや単位ではなかった。社会システムこそが単位だった。システムが即ち人間であること、それに苦しみ続けて…

安藤馨

自動車のエンジンが酒気を帯びていれば起動しないメカニズム、脱税なき完全消費税を達成する貨幣の完全電子化など、行為主体の予期がなくとも望ましい行動を採らせることが可能な統治技術の発達は、予期と愛着=共感を必要とする威嚇サンクションを無用なら…